馬歩站椿功の意義

7月に入り、一指禅功は内気コースが一巡し、今日からまた、新しいスタートです。なので、はじめの一歩、馬歩椿站功を解説します。

站椿功を医学的に見れば遅筋の等尺性運動である。
等尺性運動とは、関節動作を伴わない「静的」な「等尺性筋収縮(アイソメトリック コントラクション)」のことであり、筋肉の起始と停止の距離を変えずに一定の負荷を掛け続ける運動である。何処に負荷をかけるかと言うと、姿勢を維持する骨格筋群(遅筋)である。
遅筋はミトコンドリアの働きにより、豊富にある中性脂肪を動力源とするため、何時間行っても疲れることはなく、御腹もすかないが、血行を促進し体が温まる。
站椿の站は「身を起こす、屹立する」ということであり、中国語のトウというのは当用漢字に無いので、都合上「つばき」を当てているが、本来は「杭、くい」ということである。つまり站椿の意味は「杭のように立ち続ける」ということである。
杭のように立ち続けることにより“気”を生み出し、“気”を高める方法である。
站樁功は気功の基本であり本質である。站樁功さえやっていればのレベルが限りなく上昇するが、そのためには正しく立たなければならない。
生理学上も、立てば重力がかかるので骨密度が上がるのは当然であるし、立つこと自体がバランスを保つことであるので、骨格筋=姿勢を維持する筋肉(インナーマッスル)は常に活動状態にある。
これの逆が寝ることである。
寝れば骨に機械的刺激が掛からないので骨細胞の活性度が下がり、破骨細胞の働きが骨芽細胞の働きよりも勝って、骨粗しょう症が進行する。1日24時間の1/3を就寝に当てるのが良いバランスとされる。

站椿功の立ち方

 足先を平行にし、足を肩幅、もしくは肩幅よりも少し広めに開いて立つ。
何時間でも杭のように立ち続けるためには、楽な立ち方でなければならない。逆に言うと、苦しい立ち方では“気”は発生しないということである。気功あるいは練功の基本はリラックスであり、肩の力を抜いて、周囲と一体化することである。

体重のかけ方

足の裏の親指の付け根周囲を中心として小指付け根周囲までの前部あるいは前側に重心を置く。土踏まずから前の部分に置き、踵(かかと)には体重を掛けないということである。
站樁功で使う骨格筋としての深層筋は姿勢やバランスを保つために勝手に働く不随意筋であるので、意識では動かすことができないということを理解しないと、表層筋中心の筋力強化のための筋肥大が目的のトレーニングになって、“気”を生み出すための気功効果はなくなってしまう。意識では動かすことができない深層筋を動かすコツは少しだけバランスを崩すことである。

そのためには、表層筋をできるだけ緩めて、姿勢とバランスを「少し」崩してあげればいいわけであり、その姿勢とバランスを少し崩した立ち方が站樁功であるわけである。
 足の前足部に体重を掛けて立つと、遅筋線維が著しく優位な抗重力筋であるヒラメ筋が活性化して、ヒラメ筋内の毛細血管の血流量が増加する。
逆に、大きく踵を上げて爪先立ちになると、下腿三頭筋を構成するもうひとつの筋肉である腓腹筋が働き始めてヒラメ筋がお休みしてしまう。
腓腹筋は毛細血管の量が少ない筋肉である速筋の割合が多い表層筋であるので、“気”を作るということにおいては効率が非常に悪い。だから、前足部に体重を置き、「踵は接地しているが薄紙を一枚挟んでいる」という感覚が必要であるわけである。

脊柱起立筋と大腰筋

 脊柱起立筋は名称の通り背骨を立たせて保つための筋肉で、脊柱の背側に位置する筋肉である。脊柱起立筋のうち、外側の筋群を腸肋筋、中間内側の筋群を最長筋、最内側の筋群を棘筋と呼ぶ。
脊柱起立筋は遅筋繊維により構成されており不随意筋である。脊柱起立筋に負荷を掛けることにより血流が良くなり、大量の気が発生する。具体的には、その姿勢体勢が、首の付け根を足の親指の付け根に乗せるということである。
つまり、感覚的には、脚部も含めて、身体の後背部の深層筋に継続的に負荷を掛けて刺激し、血流を促すということである。

この感覚がつかめると、心肺機能が昂進促進し、継続的に血流が増加するということがわかる。“気”がわからない人も体温上昇で感覚をつかむことが出来る。

膝を緩めて首の付け根を足裏の親指の付け根に乗せて身体後背部にテンションを掛けると、もうひとつの大きな深層筋が働き始めるのである。
 膝を緩めて首の付け根を足裏の親指の付け根に乗せて後背部の深層筋に負荷を掛けると、それとバランスを取るために、深層筋の代表である大腰筋を始めとした腰部の深層筋にもテンションが掛かり、さらに血流が増加促進されるのである。
站椿功の「立ち方」の目的は、「毛細血管の血流を促す」ということである。股(クァ)を緩める站椿功は大腰筋を恥骨の圧迫から解放し、腰痛を防ぐ姿勢でもある。

ちなみに、人間もかっては四つ足の動物であり、大腰筋は恥骨に引っかかってはいなかったのである。

 

日常生活で最低限の“気”を生み出す一番大きな要素は、休みなく行われる「呼吸」である。
呼吸筋はすべからく深層筋であり、それを利用した“気”のメソッドが、各種の「呼吸法」である。一指禅功は呼吸法を意識はしないが、日常生活で必要な“気”を生み出す一番大きな要素は、表層筋を弛緩させて行うゆったりとした「呼吸」である。呼吸筋はすべからく深層筋である。
それを利用した“気”のメソッドが、各種の「呼吸法」である。

 

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